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寸寸如傷的情感

頽れそうなほ


街の外れにある、個人経営の小さな病院だった。おそらく本多と繋がりのある医者で、今回のように表沙汰にしたくない流血事件が起きた場合、うまく対処してくれるのだろう。

「奏、入るぞ」

返答を待たず扉を開け、本多はずかずかと室内に入っていった。そして、扉の手前で躊躇する喬允には構わず、「具合はどうだ」と訊ねる。左腕から胸まで包帯を巻かれた奏は、白いベッドの上で不機嫌そうに眉根を寄せ、

「死ぬほど退屈。入院なんて大袈裟だろ」
「黙れ。あと2ミリ傷が深かったら腱が切れていた。死ぬほどつらいリハビリが待っていたんだぞ」

奏は鼻先で嗤い、

「リハビリなんてしない。ああいうのは、リハビリ後の生活に希望が持てる人がやるものだ。俺なんて何にも―――」

言葉は途中で消えた。代わりに、濃厚な驚きが奏の唇を震わせる 。

「な…んでここにっ……」

扉の影から姿を現した喬允は、黙ってベッドに近づいた。奏は驚きを無理やり消化すると、険しく視線を尖らせ、「何でここにいるんだよ」と否定的な口調で質した。

しかし喬允には手に取るように分かった。その挑むような強い態度は、今にもど脆い自分を守るための必死の方便に過ぎないと。

「保険証を取りに行ったら、彼が部屋の前にいた。だから私が連れてきた」

奏の問いに対し、本多がさらりと答えた。そして「手続きをしてくる」と言い置くと、喬允を残して部屋を出ていった。

「ああ、もちろん。でも見て面白いものなんてないぞ」

そう言ってキッチンに向かう喬允の背中を見送り、奏は立ち上がった。そして鼓動が速まるのを意識しつつ他の部屋を見て回る生髮藥
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